コロナ禍でリモートワークが急速に普及したことにより、企業が直面する人材育成の課題はこれまで以上に経営者を悩ませています。大きく膨れ上がった人材育成の課題に立ち向かうためには、直面している課題を理解したうえでの仕組みづくりが必要不可欠です。では、リモートワークで企業が直面している人材育成の課題とは何なのでしょうか?人材育成の課題に立ち向かうためのポイントについて解説していきます。
目次
リモートワークで企業が直面する人材育成の課題とは?
現在、リモートワークで企業が直面している人材育成の課題を一言でまとめると、次のようになります。
「従来の人材育成のノウハウを使うために必要な『相手の情報』が不足しているため、人材育成に不安を感じる」
どういうことか、少し解説していきます。
まず、リモートワークが普及したことで、人材育成の現場から聞こえてくるようになった声をご紹介します。
「相手の様子がわからないので仕事を頼みづらい」
「指導する際に、言葉で伝えないといけないから、指示が出しにくい」
「仕事をしている姿が見えないので、手伝いがいるのか、いつ支援してあげるべきか、わからない」
皆さんの会社でも、一度は耳にしたことがある声かもしれません。
なぜこんな声が挙がるようになったのか。
理由は次の3つが考えられます。
① コロナ禍により集合したり、出社したりする対面での触れ合いが避けられているから
② リモートワークでは簡潔なコミュニケーションが好まれ、コミュニケーションの絶対量が減るから
③ リモートワークでは対面と比較して得られる情報量が圧倒的に少ないから
つまり、対面からリモートワークに変わったことにより、相手の情報を得にくい環境となり、そのため、仕事を頼みづらかったり、指示を出しにくかったりしているのです。
企業はこの人材育成の課題にどう立ち向かえばいいのか。
ポイントは2つあります。
人材育成の課題に立ち向かうポイント① 対面以上に細かな報連相
一つ目のポイントは、「対面以上に細かな報連相」です。
わりと当たり前の話ですが、社員に浸透すると、驚くほど仕事が楽になります。
では、なぜ対面以上の細かさが必要なのでしょうか?
オフィスで仕事をしているときのことを少し思い出してみてください。
相手が忙しいか、困っているか、というのは、なんとなく表情や仕事をしている姿を見ればわかると思います。
では、リモートワークではどうでしょうか?
オンラインツールでビデオ会議をしていれば相手の姿を見ることができますが、常時相手とビデオ会議でつながっていることは非常に稀だと思います。
リモートワークの際は、メールやチャットでの、文字のやり取りが中心です。
相手の姿を見ることで得られる情報はリモートワークでは得られません。
そのため、報連相を細かく行う必要があるのです。
極端な例ですが、1時間おきに簡単な進捗報告をしてもらう、ですとか、事前にここまで進んだら報告を入れる、という取り決めをする、等して、報連相の頻度を上げることで、足りない情報を補いましょう。
勤務態度や頑張っている様子など、相手の姿が見えないリモートワークの世界では、チャットやメール上で見かける報告の数が、真面目に仕事をしている姿の代わりになります。
煩わしく思われても、対面以上の細かい報連相を心がけてください。
そうすれば、相手の様子がわかるので、これまで同様に適切なタイミングで支援の手を差し伸べてあげたり、仕事を振ったりすることができるようになり、驚くほど仕事が楽になります。
人材育成の課題に立ち向かうポイント② コミュニケーション量を増やす「気にかけ」
二つ目のポイントは、「コミュニケーション量を増やす『気にかけ』」です。
すでに何度か述べていますが、リモートワークではチャットやメールの、文字でのやり取りがコミュニケーションの中心になります。
文字のコミュニケーションで重視されていることは、「簡潔で読みやすいこと」です。
長い文章は敬遠され、短い文章、少ない分量が好まれます。
つまり、リモートワークでは、簡潔、短い、少ない、コミュニケーションになりがちです。
不要な要素はごっそり削られます。
ここでまた、オフィスで仕事をしているときのことを思い出してみてください。
ちょっとした雑談から相手のことを知り、親しみを感じたり、信頼関係が生まれたりしたことがありませんでしたか?
雑談は業務の本題とは関係ないのでリモートワークのコミュニケーションでは削られます。
雑談もなく、短い、簡潔な文章で業務指示だけが飛んでくる。
そういう状況ではコミュニケーション量は増えず、相手の様子を知ることもできません。
逆に冷たさや感じの悪さが出てしまうことも多々あります。
そこで必要になってくるのが、コミュニケーション量を増やす「気にかけ」の活動です。
例えば、日報などの報告書を見た際に、対面の時なら雑談として触れるような内容があると思います。
「A社の〇〇さんに会ったの?〇〇さん、面白い人だよね!」
「先週体調悪かったみたいだけど、今週はどう?無理しないでね!」
こうした気にかけの言葉をかけてもらうと、社員は「ああ、自分は見てもらえているな」、「気にかけてもらえているな」と感じることができ、信頼関係が生じやすくなります。
ちょっとした「気にかけ」の言葉は、リモートワークだと、わざわざ文字にして書き込むにはハードルが高いかもしれません。業務のことを書くチャットやメールに、本題と関係のない話がたくさん出てくると、正直煩わしいです。
また、本題と関係のない投げかけをされた時に、いちいち返信しなければならないとすると、面倒くささを感じます。
なので、リモートワークでは、あえてそういう業務とは関係のないことを書き込む場所を用意する必要があります。
また、返信不要で、リアクションが取れる機能がついていると、なお良くなります。スタンプなどのリアクションがあると、相手の反応がわかるので、それだけでコミュニケーションとなりますし、相手はワンクリックするだけなので、返信の面倒くささを感じないからです。
対面同様、ちょっとした「気にかけ」の言葉をかける場所がある。
気にかけた言葉に、手間暇かけずリアクションをとることができる。
こうした「気にかけ」の活動は、業務指示以外のコミュニケーションとなり、相手との信頼関係構築に寄与する。
リモートワークだからこそ、コミュニケーション量を増やす気にかけの活動が重要になるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
コロナ禍による急速なリモートワークの普及で、企業は「従来の人材育成のノウハウを使うために必要な『相手の情報』が不足しているため、人材育成に不安を感じる」という新たな課題に直面しています。
ただ、裏を返せば、相手の情報がしっかりわかれば、これまで通り社員を育てていくことができる、ということです。そのために、「対面以上の細かな報連相」と「コミュニケーション量を増やす気にかけ」の活動が重要になってきます。リモートワーク下における、人材育成の課題に立ち向かうべく、ぜひこの2つのポイントを意識してみてください。
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