人材育成に評価を取り入れる時に押さえておきたいポイント

社内の評価を上げてキャリアアップすることを目標に、社員たちは日々仕事を通じて自身のスキルアップを頑張っているかと思います。しかし、会社側の評価基準が明確に定められていない場合、評価担当者によって評価基準が異なってしまい、蓋を開けてみると結果に差が生じてしまうという状況に陥りがちです。では社内の評価制度の足並みをそろえるためには、どこから始めたらよいのでしょうか。
本記事では人材育成の評価とポイントについて解説していきます。

人材育成と評価の関係性

企業において「人材育成をする目的は?」と問われたら、どのように答えますか。
ひとりで職務を遂行できる社員を育て、自社ビジネスにおいて結果を出すため、など、企業のさらなる成長につなげるために人材育成に力を入れたいという回答が多いかと思います。
人材育成を行う上で、重要になるポイントの1つとして評価があげられます。
評価は自社ビジネスで出た結果を踏まえ、社員の職務遂行具合を適切に見るために行います。
ここまでまだ少ししか話をしていませんが人材育成と評価は切っても切れない関係にあるのが明白です。評価が適切で、納得感があると、評価される側は次のステップが自然と見えてきます。すると評価がキャリアアップの動機づけになり、自然と人材育成につながるのです。
「この仕組みを導入すれば企業が自然と成長していくんだから、すぐに取り入れよう!」と思ってくださる方もいるかと思いますが、多くの企業が評価の部分に非常に苦しんでいて導入したくてもなかなか落とし込むことができないという現実に直面しています。
詳しく話を聞いていくと、多くの企業で共通していたこととして、評価を導入してみたところ評価することが目的になってしまい、人材育成につながらないという事例が多発していました。
評価を人材育成につなげるためには、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。
ここで評価の効果を最大限に活用しながら、人材育成につなげるために押さえておきたい大事なポイントを2つ紹介したいと思います。

人材育成に役立つ評価のポイント①職務遂行に則った論理的な評価

一つ目は感覚的ではない、職務遂行に則った論理的な評価であるということです。どんなに企業側でしっかり評価を作っていても、項目や評価に納得感がなければ評価される側には響かず、効果を発揮することはありません。
ある企業に勤めて3年目の営業社員の方からは効果が発揮されなかった事実談を先日お伺いしました。その方は営業目標も達成し、新規の取引先も開拓し、コロナ禍という難しい状況の中順調に案件数も増やすことができたそうです。お客様からの信頼も感じており、自分にしかできない仕事を作り出している充足感をもって前向きに日々仕事に取り組んでいらっしゃいました。しかし、評価面談にて、上司から「今の働きに満足していない。」と思いもよらない一言を言い放たれたそうです。自分の想像していた評価とは、大きく異なっていました。
この時、上司は「もっとこいつはできる!だから今に満足しないでもっと頑張ってほしい。もっとコミットしてほしい!」というさらなる期待があったそうです。しかし、営業社員としては、求められている職務は遂行し、結果も出しているのになぜ評価されないのか理解ができませんでした。
この評価に対する双方の溝は埋まることはなく、最終的に営業社員は失意と怒りで退職という結末を迎えてしまったのです。上司のもっと良いところを伸ばしたいという人材育成への想いは営業社員へは届かず、評価は効果を発揮するどころかマイナスに働く結果となってしまいました。

この事実談からもわかる通り、評価を人材育成に結び付けるためには、評価の対象が現在の職務遂行に則っていないといけないのです。「もっと相手の意欲をくみ取ってあげたい!」といったように社員に対する感情や想いはもちろん大切ですが、公平な判断をするためにも評価とは切り離す必要があります。

まずは感情の入る余地のない、データや数値に基づいた客観的かつ論理的な評価をすることからスタートしてみましょう。

人材育成に役立つ評価のポイント②目に見えない評価の「見える化」

これまでの日本企業は、感情や見えない想いを汲んだうえでの評価が一般的でした。もちろん信頼関係があり、ツーカーの仲であれば、今までの評価方法でうまくいくかもしれません。また、上司が自分の目に見えない働きを汲んでくれるというのは、社員側も自分のことを理解してもらえてうれしいと良い印象を与えていました。
しかし、リモートワークの導入が増えたことにより直接会う機会が減り、今まで汲んでもらっていた目に見えない働きを上司が観察するのが困難になり汲み取ることが難しくなりました。そうすると、上司が自分の目に見えない働きを汲んでくれないうえに、評価には何やら不透明な個人の感情や想いが入っている様子、ということで、評価する側も、評価される側も、非常に苦しい状況に陥ってしまいます。

先日とある企業の社員から「リモートワークが導入されて在宅勤務が増えたのですが、上司が仕事をさぼってるんじゃないかってずっと疑っていて、どんなに仕事しても全部マイナスに捕らえられてしまって困ってるんです。会社で顔を合わせていた時には効率が良くてすごいってほめていてくれていたのに、なんでそう思われているのかもわからなくてとても残念です。」という相談を受けました。このように汲んでもらっていた部分が足を引っ張ってしまうこともあるのです。

そのため、近年そういった目に見えない部分を排除した「ジョブ型の人事評価」等、タスクや職務に基づいた評価の導入が広まっています。
そこで、二つ目の重要なポイントは、感情や見えない想い・頑張りなどの評価を「見える化」することです。
前述の通り、やはり目に見えない頑張りや働きは評価された方が社員はうれしいと思うと同時にもっと頑張ろうという次の行動への原動力へとつながります。ただ、基準があいまいのまま不透明な状態で評価に含まれると、評価されていても納得感が薄く、次の動機づけになるどころか、不満の温床となり、離職という最悪な結末を迎えてしまう場合さえ起りえるのです。
そんな状況を防ぐためにも、目に見えない頑張りや働き、そして相手に対する感情を評価に入れる場合は、必ず「見える化」する必要があります。このような仕組みがあると、評価への納得感が増し「次はどう頑張ろうか。」という動機づけにつながるので、人材育成にも大きな効果を発揮する評価になります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

人材育成と切っても切れない関係にある評価。
その評価基準がこれまでの日本企業はあいまいになっていて明確化されていませんでしたが、リモートワークの導入が進む昨今見直そうという企業が増えています。

そこで押さえておきたいポイントが2つあります。
・感覚的ではない、職務遂行に則った論理的な評価であるということ
・評価が「見える化」されていること

上記2点を踏まえて評価をすることによって、評価基準が明確になって相互の共通認識となり、評価内容へ納得感が増し、キャリアアップへの動機づけにつながり、最終的に人材育成にも大きな効果を発揮するようなサイクルを作ることができます。

そのようなプラスの流れを作るためにも、今一度会社で行われている「評価」について見直してみてください。

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