企業が掲げている目標に向けて常に成長を続けるためには、必要人材の確保が重要なカギとなってきます。しかし、コロナ禍への対応策としてリモートワークの導入などを行ったことにより、直接顔を合わせる機会が少なくなり、どのような人材がいるのか、最近どのような仕事をしているのかなど人材把握が難しくなりました。そんな状況にあったマネジメント方法として「タレントマネジメント」に注目が集まっています。
では、タレントマネジメントとはどのようなものなのでしょうか。
今回は「タレントマネジメント」を活用した人材把握についてご紹介します。
タレントマネジメントを活用した人材把握が注目されるようになった背景
タレントマネジメントは、1990年代に人材の流動性が激しいアメリカで提唱されており、従業員のスキルや能力、経験を見える化して人材把握を行い、その情報を戦略的な人材配置や人材育成、採用に最大限に活用することで企業の成長につなげていくマネジメント手法です。
従来の日本は、従業員が長く同じ企業で働けるように、終身雇用制度や年功序列といったメンバーシップ型の雇用を行っており、多くの新入社員を一括採用し、企業の中で部署を移動させながらOJTを受け、幅広い経験や知識を持つ従業員を育成していました。
しかし、以下の3つの大きな環境の変化により、従来の人材育成制度が難しくなってきています。
- デジタルトランスフォーメーションの進展
業務の中でもITツールの導入やデジタル技術の活用が増え、業務内容やビジネスモデルも急激な変化が求められました。変化が目まぐるしく、上司に聞いても解決方法がわからない問題も生まれてくるので従業員一人ひとりの専門的知識が求められるようになっています。
- 従業員の職業人生の長期化
人生100年時代といわれるように、高齢化が進み年々シニア就労が増加しています。
以前は新入社員の際にOJTなどで得たスキルで一生同じ仕事を続けて定年を迎えるということが出来ましたが、環境の変化が激しくなった現代では難しくなりました。そのため、職業人生の中で学びなおしキャリアチェンジを行う人も増えています。
- コロナ禍による労働の個別化
リモートワークの導入などにより、直接顔を合わせて仕事を行う機会が減り、実務を通してOJTの実践的な知識やスキルを身に着ける育成方法であるOJTや上司と一緒に仕事をしながら自主的に学ぶことが難しくなっています。
このような環境の変化に伴い、従業員の今までの経験や現在持っている資格やスキルなどを見える化し人材把握を行って、従業員一人ひとりに合わせた人材育成が求められるようになりました。
そこで「タレントマネジメント」に注目が集まるようになったのです。
タレントマネジメントを活用して人材把握を行う目的
先日とある人事の方とお会いした時もタレントマネジメントの導入を検討しているというお話が出ました。
「弊社も週の半分以上がリモートワークで従業員とコミュニケーションを取る機会が減りました。定期的にzoomでランチミーティングなどを設け、従業員と話す機会を設けているのですが、みんな資格を取ったり副業に挑戦したり自分のスキルにプラスになるようなことに積極的に取り組んでるみたいなんです。これから新規事業も考えていて、新しい人材の採用も視野に入れているのですが、新しく会社を引っ張ってくれるリーダーを育てるというという意味でも社内の教育にも力を入れたくて……。先日この話をしたら、知り合いの人事の方からタレントマネジメントの導入を勧められたのですが、弊社にも導入したほうがいいのかちょっと悩んでいます。」
このような話をしたときにタレントマネジメントを導入すること自体が目的になってしまっているという人も多くいらっしゃいます。
ここで今一度タレントマネジメントをなぜ導入したほうがいいのか、自分の企業にタレントマネジメントがあっているのかを確認してみましょう。
企業によってタレントマネジメントを導入する目的は異なりますが、最終的な目的は企業が掲げている経営目標を達成するためです。
経営目標を達成するためには中長期的にどのような目標設定をしたらいいのか?
経営目標を達成するために必要な人材はそろっているのか?
人材がそろっていないけどどのような人材を採用したらいいのか?
そのような問題を抱えている場合は、タレントマネジメントを活用することによって、目標設定、人材配置、採用、評価などの情報を見える化し、最適な人材配置や人材育成を行うことができ、経営目標達成に近づけます。
また、企業を継続的に成長させるためにも、目標に向かって企業の主戦力になる優秀なリーダーとなる人材を育成することも重要なカギとなりますが、そんな時もタレントマネジメントを活用し人材の発掘が出来るのです。
まずは企業の中でどのような問題を抱えているのか、その問題が果たしてタレントマネジメントを導入することで解決できるのかを今一度見直してみましょう。
タレントマネジメントを活用した人材把握を行うメリット
近年、ビジネスにおける経営資源の中で、ヒトこそが重要な資源という発想に切り替わってきている中で、人材データの活用が重要視されてきています。
そんな中このような質問もよく受けます。
「タレントマネジメントを導入すると様々な情報を見える化できることはわかったんですが、その情報を上手く活用できるか少し不安です。実際にデータを活用するとどのようなメリットがあるんでしょうか。」
タレントマネジメントを導入しても、そこで終わってしまっていては、状況は改善されません。
では、実際にタレントマネジメントを活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 従業員の最新情報を把握することが出来る
タレントマネジメントを活用することにより従業員のパーソナル情報や勤続年数、今までの所属部署など人材情報を把握することが出来ます。また、入社前の仕事の経験なども把握することにより、適切な人材配置を行うことが出来ます。
- 業務の進捗やデータを蓄積することが出来る
プロジェクトの進捗管理やその時の実績をデータとしてまとめておくことにより、今後似たようなプロジェクトや同じ企業様からのプロジェクトを行う際に、データ比較を行ったり注意すべき項目を確認することが出来ます。
- データに基づく客観的な評価を行うことが出来る
タレントマネジメントを活用することにより、従業員一人ひとりにあった目標を設定することが出来ます。そのため、目標に対してどれくらいの結果を出すことが出来たのか、誰から見ても客観的に評価できるようになります。
また従業員も目標の見える化により、自分がどのようなことをしたらいいのかが明確になり、迷うことなく目標に向かって努力することが出来るようになります。そして、評価基準が明確になることにより、従業員は正しく評価され、モチベーション向上にもつながり、離職を防ぐことにもつながるのです。
この時重要なのは、常にデータを最新の情報に更新しておく必要があるという事です。
そのためにも、タレントマネジメントシステムなどを活用し、従業員が自分自身で情報を最新のデータに更新するような環境作りを企業側でも作るようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
従業員のスキルや能力、経験を見える化して人材把握を行い、その情報を戦略的な人材配置や人材育成、採用に最大限に活用することで企業の成長につなげていくマネジメント手法として注目を浴びているタレントマネジメント。
従来の人材育成制度が難しくなった理由として、3つの大きな環境の変化があげられます。
- デジタルトランスフォーメーションの進展
- 従業員の職上人生の長期化
- コロナ禍による労働の個別化
またタレントマネジメントを導入することが目的となってしまう企業も多いですが、真の目的は企業が掲げている経営目標を達成するためです。
タレントマネジメントを活用して、目標設定、人材配置、採用、評価などの情報を見える化し、最適な人材配置や人材育成を行うことで、従業員が一丸となって目標に突き進むことが出来ます。
しかし、タレントマネジメントを導入しても、そこで終わってしまっていては、状況は改善されません。
実際にタレントマネジメントを活用するとこのようなメリットがあります。
- 従業員の最新情報を把握することが出来る
- 業務の進捗やデータを蓄積することが出来る
- データに基づく客観的な評価を行うことが出来る
タレントマネジメントツールなどを活用し、最新のデータを常に把握しておくことで、最新の人材把握を行うことが出来ます。適切な人材配置を行って、これからも経営目標に向かって邁進するためにも、タレントマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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