タレントマネジメントを活用した人材配置の効果とポイント

従業員と一致団結をし、足並みをそろえて目標に向かう。これは、企業がこれからも日々成長していくために、理想の組織像だと思います。しかし、環境の変化に伴い、従業員が個々に行動し活躍することを求められる場面が増え、今までの体制や方針ではコミュニケーションを取ることが難しく、変化が求められています。

では、何から始めたらよいのでしょうか。今回はタレントマネジメントを活用した従業員の配置についてご紹介していきます。

タレントマネジメントを使った人材配置で押さえておきたい4つのポイント

人材を活用するうえで、「適材適所」に従業員を配置することが、一番理想的です。しかし、実行してみると、なかなか理想通りにならないというのが現実です。

その原因の一つとしてとして「ステレオタイプ」の人材配置があげられます。
ステレオタイプとは「型通りのイメージ」や「固定概念」の意味で用いられており、それらにとらわれて個々を見ずに人材配置を行ってしまい失敗したということもあります。

例えば、野球部などの体育会系の部活出身の新入社員は営業職に向いているだったり、サークルでリーダーをやっていた人やバイトでリーダーの経験がある人ならリーダーシップがあるだろう、といったように、担当者の先入観に左右された人材配置を行った場合、蓋をあけると思っていたのとは違った結果になってしまうこともあるのです。

では、どうしたらこのような事態を改善できるのでしょうか。
そこでタレントマネジメントの導入です。

タレントマネジメントは元々人材の流動が激しいアメリカで優秀な人材を定着させるために提唱されました。
日本での働き方も終身雇用制から、「ワークライフバランス」など個人の価値観が重要視されるようになり、人材の流動性が激しくなりました。その一方で少子化による労働人口の減少により、新たな人材の確保と同時に今いる従業員の戦略的人材配置や人材育成が必要となり、注目が集まっているのです。

ではタレントマネジメントを導入し適材適所に人材配置を行うためには、何を考慮すればよいのでしょうか。
今回は4つのポイントをご紹介します。

企業目標を明確にしましょう

従業員の特性に合わせた人材配置を行うことは重要ですが、まずは企業目標を見直し、事業戦略を作成したうえで、どこに何人必要なのかを明確にする必要があります。
また企業目標を達成するために、強化する部分や不足人材を洗い出すことにより、最適な人材配置を行うことが出来ると同時に今後の採用や人材育成のための情報を把握することが出来ます。

タレントマネジメントを導入する際にも目標設定が重要なカギとなるため、今一度見える化をしましょう。

人材情報の見える化をおこないましょう


業務の向き不向きを判断するためには、感覚的なものだけではなく、客観的な情報の見える化が必要になります。
タレントマネジメントはこれまでの業務経験や配属履歴だけではなく、スキルや資格、性格などを見える化して一元管理することが出来ます。

そのことにより、自社にはどのような人材がいるのかをより把握しやすくなると同時に、現在の人材配置や現状の組織のパフォーマンスも見える化をすることが出来、業務と人材がどれくらい合致しているかも把握することが出来ます。

パフォーマンスが発揮できているときと発揮できていないとき、両方の情報を収集し、継続的にデータ化することによって、より最適な人材配置の判断材料を得ることが出来ます。

従業員それぞれの目標を把握しましょう


人材を配置する際に、今後どのような人材になりたいのか従業員自身の考えも把握しておく必要があります。
データ上最適な場所に配置をしても、本人のやりたいことと異なる場合、モチベーションが下がり、最悪離職にもつながってしまうことも考えられます。

そのため、まずは従業員本人の目標を把握し、なるべく本人の意思も考慮しながら配置しましょう。

現場の状況を把握しましょう


データ上、人材不足や人材が余っていると出ていても、実際に現場の話を聞いてみるとデータの結果とは異なる場合があります。そのためまずは現場の現状を把握する必要があります。

また人材不足を補うために人材を配置したとしても、教育担当がいなかったり、実際に必要としている人材ではなかったり、別の問題が発生する可能性があります。
その問題によりせっかく確保した人材を失わないためにも、現場の状況や希望を把握しておきましょう。

タレントマネジメントで見える化された情報だけを信じるのではなく、従業員とそれぞれコミュニケーションを取り、現場の状況を把握しながら人材を配置することにより、より最適な人材配置を行うことが出来るのです。

タレントマネジメントを継続して活用した人材配置による効果

まずはタレントマネジメントを活用して現状の把握ができたと思います。
では、タレントマネジメントを今後も継続して活用していくとどのようなことが出来るのでしょうか。

中長期的な人材育成と人材開発

タレントマネジメントで見える化された情報をもとに、今後それぞれどのような研修が必要なのか人材育成計画の見直しや整備を行うことが出来ます。また、従業員データをもとに、キャリアアップの傾向などを把握し、キャリアモデルとして紹介することも可能になります。

また「経営目標を達成するためには」を一つの軸に、従業員それぞれがどのような役割を担ってもらうのが最適なのかを、データをもとに総合的な視点でとらえ、長期的な育成計画を作成することが出来ます。

優秀な人材の採用と離職率の低下

従業員を適材適所に配置することにより、それぞれの力を最大限に発揮する環境を提供できるようになりますが、それにより多くの相乗効果が生まれます。仕事のパフォーマンスが上がったことによる成果を正しく評価することにより、モチベーションの向上にもつながります。またその評価を適正な報酬につなげることにより、次の目標達成への意欲にもなります。

個人の生産性向上

従業員のモチベーションの向上はパフォーマンスや生産性の向上に直結しています。正しい人材配置を行うことにより、それぞれスキルや能力を最大限に発揮し活躍できる場が増えます。そして、仕事で適正な評価を得られると、自信にもつながります。

また従業員自身もタレントマネジメントによって見える化された情報を確認することにより、自分の現状を客観的に見直すことが出来ます。
これからの段階的な目標も従業員に応じて設定することが可能となるため、足りていない経験や今後必要となるスキルなどを再確認すると同時に、目標達成に向けてひたむきに努力できる環境づくりができるようになります。

ひとりひとりのモチベーションの向上は、生産性へとつながり、会社の業績へもつながるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

タレントマネジメントを活用して見える化された情報は、企業の成長のために様々な活用方法があります。しかし情報だけを信じるのではなく、人材配置を行う上で考慮すべき4つの項目があります。

  1. 目標を明確にしましょう
  2. 人材情報の見える化をおこないましょう
  3. 従業員それぞれの目標を把握しましょう
  4. 現場の状況を把握しましょう

また、タレントマネジメントは導入するだけではなく、今後も継続して活用し、さらなる企業の成長につなげることもできます。

①中長期的な人材育成と人材開発
②優秀な人材の採用と離職率の低下
③個人の生産性向上

従業員の情報を把握しながら、企業目標達成に向けて一致団結するためにも、タレントマネジメントを導入・活用してみてはいかがでしょうか。

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