時代の変化に伴い、多くの企業がツールなどを用いて導入を行い、浸透してきたタレントマネジメント。しかし、会社の方針で導入をしたものの正しく機能しておらず、従業員が不安や不満を持ってしまう場合もあります。では、どのようなことで不満や不安は生まれてしまうのでしょうか。
今回はタレントマネジメントを導入した企業で生まれがちな評価に対する不満などの例を用いながら、押さえておきたい基本評価項目についてご紹介します。
タレントマネジメントの評価による落とし穴
「リモートワークが始まって、一人で仕事を進める時間が増えたのですが、上司からフィードバックを受ける機会が極端に減ってしまいました。以前は雑談もかねて気軽に相談ができたのですが、今はわざわざ時間を取ってもらうと思うと躊躇してしまって……。目標のすり合わせはあるんですけど、結局、結果に対してのフィードバックが行われないので、自分がどれくらい貢献できているのか、自己評価が正しいのか、よくわからない状態なんです。」
先日タレントマネジメントツールを導入している企業の従業員と話をする機会があったのですが、タレントマネジメントを導入したにもかかわらず効果が感じられずに、モチベーションに影響が出ているというという現実を知りました。
どうしてこのようなことが起きてしまったのかと思い、詳しく話を聞いてみると、その一つとして「上司が導入する主旨を正確に理解しておらず、評価制度がうまく機能していない」ということがわかりました。
企業がこれからも継続的に成長するために掲げた目標に対し、タレントマネジメントを用いて従業員の持っているスキルや経験を見える化したときに、それぞれの従業員の今後の課題が浮き彫りになってくるかと思います。しかし、ここで評価項目や基準が正しく設定されていない場合、評価する側の基準もばらばらになってしまい、人によって評価が異なるという事態が起こってしまいます。また、最悪、明確な評価基準が設定されていない場合、正しい評価を行うことが出来ず、今回のように評価を伝えずあいまいなまま次の評価期間に移り、徐々に従業員のモチベーションを下げてしまうことがあるのです。
タレントマネジメントの5つの基本評価項目
では、正しい人事評価を行うためには、何を基準に評価を行えばいいのでしょうか。
従業員が持っているスキルや能力、業績に対する貢献度に応じて従業員を評価する「人事評価」。人事評価は従業員の労働に対する満足度に影響を与えます。満足度は従業員それぞれのモチベーションとなって業務改善へと繋がり、企業の目標達成度にも影響を与え、ゆくゆくは企業の成長にも結び付いてきます。
しかし、裏を返せば、従業員のモチベーションにダイレクトに響いてしまうため、誤った評価を行うと、従業員の離職率にも繋がってしまいます。
今回はタレントマネジメントを行う際に基本となる評価項目5つをご紹介します。
①従業員に関する基本情報
最初に挙げる評価項目は従業員の基本的な属性に関する情報です。
所属部署・役職・等級などがこの項目に該当します。従業員を検索するときなど使用する機会が多い評価項目であり、必要不可欠な項目です。
従業員の基本属性は変更されることが多いため、変更があればすぐに更新を行い、常に最新の情報が把握できるようにしておかなければいけません。
②従業員の能力やスキルに関する情報
次は従業員の現在持っている能力やスキルに関する情報です。
保有している資格やTOEICなどの試験の点数がこの情報に該当し、客観的に判断をすることが出来ます。
しかし、ここで重要なことは、資格などを持っていなくても高い能力やスキルを持っている従業員が存在するということです。そのため、該当の従業員も正確に評価するためにも、社内で能力やスキルに対する評価基準を設定しましょう。その基準をもとに、能力やスキルを評価して情報としてまとめておくことにより、従業員情報の見える化につながり、最適な人員配置などにいかすことができます。
③従業員の行動に関する情報
従業員が普段仕事を行っている際にどのような行動をとるのか、傾向に関する情報です。
勤務時間や早退・遅刻・欠勤の回数、月の残業時間などの勤務データや、打合せの際の資料作成にかける時間などがこの項目に該当します。
能力やスキルが高くても遅刻の回数が多ければ、評価は低くなります。また、会議の際に優れた資料を作成するなど業務に対するモチベーションが高くても残業時間が著しく多い場合は、能力が高いと評価するのは難しくなります。
このように業務に対する行動の情報を評価項目として見える化をすることにより、他の視点からも従業員を評価することが出来ます。
④従業員の価値観や考え方に関する情報
4つ目は従業員がどのような価値観や考え方を持っているかに関する情報です。
この項目は仕事に対してどのような行動をしているかにも結び付いてくる重要な情報となっていて、仕事に対して求めているものは何か、どのような仕事にやりがいを感じているのか、今後どのような仕事をしたいと思っているのか、仕事に対するモチベーションや今後のキャリアプランをどのように思い描いているかを把握しておくことは重要です。
これらの情報を把握し、適切な人為配置などに反映させることにより、業務効率を向上させたり、従業員の離職率を低下させることにつなげることが出来ると思います。
⑤従業員のキャリアに関する情報
従業員がこれまでにどのようなキャリアを積んできたのかという情報です。
学歴・職歴・所属してきた部署の履歴だけではなく、今までどのような仕事を手掛けてきてどのような評価を受けたのかといった詳しい内容まで把握できれば、より精度の高い評価を行うことが出来ます。今までの研修の受講歴や社内での表彰された回数をはじめとした社内イベントも把握できれば、より客観的に評価することが出来ます。
この情報を管理することにより、従業員のスキルや能力、今まで手掛けてきた仕事の方向性を知ることが出来、適切な人員配置にもいかすことが出来ます。
以上の5点の評価項目に基づいてタレントマネジメントを行うことによって、従業員の性格や特徴、スキルや経験を把握することが出来ます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
直接会う機会が減った中、以前と同様の評価が難しくなり、普及が進んでいる「タレントマネジメント」。
しかし、タレントマネジメントを導入しても、正しく機能させないと、従業員の評価が正しく行われなくなり、モチベーションが下がって、最悪離職につながることも考えられるのです。
そこでまずはタレントマネジメントの基本評価項目として5つご紹介いたしました。
①従業員に関する基本情報
②従業員の能力やスキルに関する情報
③従業員の行動に関する情報
④従業員の価値観や考え方に関する情報
⑤従業員のキャリアに関する情報
上記の基本評価項目を収集し、その項目を基に評価基準を定めることによって、会社の評価基準が合わせられ、人によって評価の差が減るという状況が減らせるようになり、正しい評価が受けられる従業員が増えるようになると思います。
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