人材育成手法の知っておきたいメリットデメリット

企業をより成長させるために、人材育成に力を入れるのは当然のことだと思いますが、近年様々な手法が増えてきておりどれが最適なのかわからず導入に踏み出せない企業も多いのではないでしょうか。誤った育成手法を導入し、遠回りをしないために、それぞれの手法のメリットとデメリットをしっかりと理解し、現場の負担を最小限に抑えながら最適な育成方法を採用することが求められます。
今回は人材育成手法とそれぞれのメリットデメリットをご紹介していきます。

人材育成の手法とは?

企業のパフォーマンス向上のためにも会社の人材育成を始めようと思ったとき、手法は大きく分けて3つあります。

① OJT (On the Job Training)
現場で実務を行いながら、必要な知識やスキルを学ぶ手法です。
② Off-JT
OJTと反対の意味を持ち、セミナーや研修など実務を離れた環境で学ぶ手法です。
③ SD (Self Development)
自己啓発の意味を持ち、本やセミナー・資格の取得など社員が発的に学習する手法です。

より効果的な人材育成を行うためには、この3つの手法を適切に使い分け、時にはうまく組み合わせながら導入していくことが大切です。

人材育成手法のメリットデメリット

先日人材育成に力を入れたいというとある企業の人事の方より「いざ始めようと思ったときに、どの手法がどの業務にあうかよくわからないんです。どんなところに注目して選んだらいいか教えてもらえませんか?」というご相談を受けました。
導入をしたいという気持ちはあっても、いざ話を進めたときに何が適切なのかというところで頭を悩ませている企業も多いかと思います。

3つの手法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。詳しく見てみましょう。

①OJT

●メリット
・実務を学べる
・業務に携わっている人から学べる
・学ぶ内容が職務に直結する 等
●デメリット
・効果は教える人のスキルに左右される
・現場に負担がかかる
・実務のことだけになり基礎がおろそかになったり応用が利かなくなったりする 等

実際の現場にて実務をこなしながら体得していく方法となるため、実践の経験を積むことができます。またイレギュラー対応など、マニュアルにはないことを学ぶこともできます。
しかし、OJTで念頭に置いておかなくてはならないポイントとして、教える担当になる人は教えるプロではなく実務のプロであることを忘れてはいけません。そのため、実務や「うちのやり方」といった現場独自のやり方など職務に直結することが学べる反面、教え方がうまいとは限りません。また、教え方や実務などの技能レベルも教える人の実力以上のことを学ぶには不向きです。また、多くの業界で人手不足が叫ばれる中、現場の主力が教える側に回るため、労働力が減り現場の負担は大きくなることが考えられます。
そう考えると導入を後ろ回しにしがちですが、自社ならではの技術を伝承し、今後の繁栄につなげていくためには必要不可欠な育成手法です。

②Off-JT

●メリット
・実務以外のことが学びやすい
・組織や所属を超えた学びが行いやすい
・一定の品質が保たれている 等
●デメリット
・実務に結び付けにくい
・実務が止まる 等

研修やEラーニングといったOff-JTでは同じ講師、或いは同じカリキュラムで実施されるため、育成を受ける人は全員が同じ一定の品質の指導・講義を受けることができます。
一方で、一定の品質という観点から、個々の実務に特化した内容ではないテーマで実施することが多いです。そのため、自分の実務に結び付けにくい内容のものもあり、効果が目に見えにくい場合があります。また、受講者は実務を止めて、受講する時間を確保しなければならず、仕事自体を止めることになるため、余裕のない部署などでは仕事が回らなくなる可能性も考えられます。
仕事が回らなくなるデメリットがあるとなかなか導入に踏み切れないといった現状を抱えている企業も多いかとは思いますが、共通認識を持つなどOJTでは行えない育成が行えるため、近年改めて重要視されている育成手法です。

③SD

●メリット
・自分が興味ある分野を学べる
・個人個人に合わせた学習が可能
・就業時間以外の隙間時間を活用できる 等
●デメリット
・個人のモチベーションに左右される
・企業としての強制力を持たせにくい 等

SDは個人にフォーカスされた方法のため、うまくかみ合えば大きな効果・成長が期待できます。
一方で、個人の裁量に任せる部分が多く、企業として強制力を持たせにくい為、計画的な育成にはなりにくいという側面を持っています。人によって成長度合いが異なりますが、それぞれ自分の成長のためにモチベーションをもって取り組むため、他より優秀な人材が育ちやすい育成手法です。

現場の状況を把握し、育成手法のメリットとデメリットをおさえて、それぞれの環境に最適な人材育成を考え、計画していくことが企業には求められます。

メリットデメリットを活かした人材育成手法の取り組み事例

ここまでそれぞれの育成方法のメリットとデメリットを紹介してきましたが、最後にいくつか、メリットデメリットを活かした面白い事例を3つご紹介します。

1つ目の事例は他社留学です。
異業種など他社に留学と称してOJTを受けに行く人材育成手法で、織田裕二主演の「県庁の星」で一躍有名になりました。
基本的には自社ではなく他社の実務についてOJTを通して学んでいく取り組みのため、自社における自分の職務とは直結しない場合があります。しかし、自社でのOJTは自分の職務だけが対象となるため視野が狭まりがちなのに対し、他社の職務を行うことで視野を広げることができ、自社ビジネスの中では気づかないような学びを得ることができます。

2つ目の事例はセルフデベロップメント研修です。
SDを学ぶOff-JTという面白い取り組みの人材育成手法です。
実務を通してSDを行うため、Off-JTのデメリットをなくし、SDのメリットを最大化するためのマインドとスキルを身に着けることができます。また実務からSDを行うので、場合によっては実務と関係ない育成になるSDを、企業の「職務遂行できる社員を育てる」という意向に沿わせることができます

3つ目の事例は気にかけサプリメントです。
OJTとSDを掛け合わせたハイブリット型の人材育成手法で、あたりずむという人材育成ツールに組み込まれている機能です。
OJTの中で、トレーナーが受講者であるトレーニーを気にかけ、「こういうことに悩んでそうだな」、「これ知ったら壁を突破できそう!」等トレーナーがトレーニーに手を差し伸べ、アドバイスをする際に、サプリメントを処方するように動画コンテンツをレコメンドすることができます。動画を見て学習するかどうかは個人の意思次第となるためSDになりますが、職務の中で、指導者が気になった分野の学びをレコメンドできるため、OJTの中でSDを促すことができます。

今まで別々の手法と考えられていた人材育成方法も、掛け合わせを行うことでさらなる効果を生み出すことが実例で増えているので、それぞれの企業そして業務に合わせた方法を取り入れていきましょう。

まとめ

企業で業務に合わせて導入されている人材育成。
手法は主に大きく分けて「OJT」「Off-JT」「SD」の3つで、より効果的な人材育成を行うためには業務によって適切な使い分け、そして組み合わせが求められます。
そのため、導入する前にそれぞれのメリットとデメリットをしっかり把握し、効率的かつ最適な手法がとれるよう工夫をしてみましょう。

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